10/25 日本仕事百科

「日本仕事百貨」という求人サイトがある。
主に正社員募集の求人を載せているのだが、
「タウンワーク」のような大手サイトとは大きく違う。
大手が、収入や保険、残業時間などの数字で示せる求人情報を
多く載せているのに比べて、
「日本仕事百貨」は、文字で会社のことを伝えようとする。
全国の求人先に赴き、そこで働く人の話を聞き、
会社ができた経緯や、来て欲しい人の具体的な人物像を聞く。
表面的な会社概要では伝わらない
会社の「空気」を文章で伝えようとしている。
「定量的」ではなく「定性的」な求人サイトだ。

仕事の不満の8割以上は、人間関係だと聞く。
働く時間が楽しいものになるのか、つまらなくなるのかは、
一緒に働く人達にかかっているともいえる。
大手求人サイトは、「情報のオープン化」の流れの中で、
会社の代表の顔を出し、そこで働く人のコメントを掲載し、
「職場の見える化」をそこそこやっていたが、
「日本仕事百貨」は突っ込み具合が違う。
掲載企業で働く人達に、仕事の辛い部分を包み隠さずに言わせ、
一緒に働きたくない人像もはっきりと示させる。
いいところも悪いところも見せることで、
掲載企業も、応募者も、
お互いが採用後に嫌な思いをしないようにしている。
「日本仕事百貨」は、 一つの求人先にじっくり時間をかける
という、大手ができないスタイルでもって戦っている。

全国に散らばる求人先一つ一つに時間をかけているので、
サイトに掲載される求人件数は、とても少ない。
「量」を放棄したのだから、しょうがないが、
大手とは比べ物にならないくらい掲載数が少ないので、
仕事を探す側としては、物足りないだろう。
しかも、ただでさえ少ない掲載企業の求人地域が、
全国各地に散らばっている。
東京、島根、鹿児島、岩手。
働きたい会社だとしても、遠い・・・。
しかし、今の人は土地の移動のハードルが低くなっている。
自分が知らない土地であっても、
フィーリングが合いそうだと思えば、
応募する人が多くいるのだろう。
田舎からの求人が止まることがない。

ウェブだからこそ、地域に縛られず、
東京の求人と離島の求人を同時載せることができるし、
ウェブだからこそ、この「定性的」なやり方が
成功しているんだなとも思う。

ウェブ上の企業の多くは、常に「情報量」で戦っている。
多くの情報が集まること、多くの人に閲覧されていること、
日本で、世界で、一番のプラットフォームになっていること。
それらを前提にお金がまわる仕組みを作っていたりするので、
「情報量」「利用者数」で他社に負けることは許されない。
二番では意味がなく、一番にこそ、意味がある。

しかし、皆が一番になれるわけではない。
一番になれず、三番手、四番手にしかなれないなら、
いっそのこと、違う土俵で戦った方がいいのかもしれない。
「量」じゃない土俵。
「日本仕事百貨」のような「質(というか定性)」の土俵。
「残業月20時間」と数字で表現されている部分を、
「本当のところ」それは、どういう意味の「20時間」なのか。
それを言葉で表現する土俵。
その「本当のところ」を、今の応募者たちは知りたがっている。
「建前」を廃して、「本当のところ(のようなもの)」を見せる。
それも、ウェブだからこそできることだ。
どんな界隈にも、必ずニッチはある。
ウェブの良さは、ニッチを無数に作ったことだろう。