2/20 野菜ジュース

僕のばあちゃんは、近所付き合いが良い。
地区(ばあちゃんは部落という)の集まりや催しに
しょっちゅう顔をだすので、家に参加賞でもらう
ドリンクが台所にどんどんたまっていく。
ただ、ばあちゃんはそういうドリンクをあまり
飲まないので、たまに来る僕や妹が適当に
それぞれの家に持って帰っていた。

地区の集まりの参加賞はオロナミンCなどの
有名メーカー商品ばかりでなく、聞いたこともない
メーカーのドリンクも結構多い。
ある日、聞いたこともない紙パック入りの
100%野菜ジュースを手に取った。
喉が乾いていたのでゴクゴク飲んだせいで
最初は味がよくわからなかったが、
徐々に味の違いに気づいた。

ありゃ。やっぱり飲みなれんメーカーは
なんじゃい感じの、違うな。
カゴメとはなんか違うけど、これはこういう
濃縮還元の仕方なんやろな。
慣れというのは怖かもんやね。
カゴメばっかり飲んでると、それ以外は
野菜ジュースにさえ思えんごとなってしまう。
気をつけんばね。うん。

いや、ありゃ・・・。
でも、これは、うん、これは、なんじゃい、違うな。
だって、・・・舌がしびれとる。
これは野菜ジュースっていうよりも、
舌の感覚でいうと、スパークリング野菜ジュースや。
新しいジャンルかいな?

パッケージを見ても、そんな
「スパークリング野菜ジュース」なる明記はない。
当たり前だ。
そこで、ようやく気づいた。

なるほど。
これは、台所で独自にスパークリングしたとやね。
正確には、独自に「スパークルした」やね。
パッケージの消費期限をみてみる。
ふむ、半年前になっている。
「製造日」の間違いかなと見直すが、
やはり「消費期限」だ。

僕は、口の中の100%スパークリング野菜ジュースを
そっとストローに流し入れた。
「ばあちゃん!このジュース、スパークルしとっばい!」
「・・・・そがんね」
僕は洗面台へと向かい、入念にうがいをした。
6月なのに、ばあちゃんはまだ冬に使ってたイソジンを
石鹸と歯ブラシの間に置いていた。
田舎は都会とは、時間の流れが違うようだ。
気をつけんといかんな。