2/23 佐賀弁辞典(2)

方言を集めていると改めて思うのは、
感情を表すための語句が多いということだ。
形容詞、動詞が多いのに比べて、名詞が少ない。
モノの名前は全国で揃えたほうが、
都合がよかったのだろうか。

さらに、感情を表す語句の中でも、
「嫌な感情」を表す語句が多いことに気づく。
面倒だ、寂しい、どんくさい、怖い。
感じたくない感情、言われたくない性質を表す、
ネガティブな言葉が多く溢れる。
嬉しい、美しい、おいしい、楽しい。
そんなポジティブな言葉は、あまり見当たらない。

雪が多く降る国に雪を表す言葉が多いように、
嫌な感情の言葉が多い佐賀の人は、
嫌な思いをいっぱいしたのだろうか。
「やぐらしか」と「せからしか」
(ともに、面倒だ/うざったいの意)
を分けて使う必要のあった佐賀の人は、そんなに
「うぜぇ」ことが多い日々だったのだろうか。
別々の「うぜぇ」を生み出すほどに、
「うぜぇ」ことに苛まれていたのでしょうか。

そんな風に書くと、方言が人の嫌な部分を
際立たせているように思われるので、
一つ、よい方言の表現をお伝えしたい。
佐賀の詩人で、笹井宏之さんという人が、
死んだ祖母のお墓の前で詠った詩だ。
(笹井さんの家族は音楽が好きで、
よくみんなで楽器を鳴らしたといいます。)

冬ばってん「浜辺の唄」ば吹くけんね
ばあちゃんいつもうたいよったろ
(※現代仮名/二段に訂正)

声に出して読んでほしい。
やっぱり、方言には、温度がある。音もある。
消えるのは、ほんに、ほんに、もったいない。