2/27 死語

僕の前で、ハタチ前後の子達が券売機で切符を買っている。
その会話に、じっと聞き耳を立てる。
長崎に行くようで、往復きっぷを買おうとしている。
群青色の薄いマフラーを巻いた子が、
「長崎行き往復4枚きっぷ」のボタンを押して、言った。
「ぽちっとな」

『ぽちっとな』、確かに、頂きました。

若い子の言葉遣いで気になるのが、
擬音語・擬声語や感嘆詞に分類されるあたりの言葉だ。
この辺は、一番、気付かずに死語を使ってることが多い。
僕は死語に不安で、若い子の前で、迂闊に口を開けない。
ほんとは、一つひとつ確認していきたいのだが、
そんな面倒なことに付き合ってくれる人はいない。

「やりぃ!」
やりぃ!は、まだ、大丈夫なの?どうなの?
不安になってくる・・・。
「がーん!」
がーんは、まだ、使われてるのかな。大丈夫かな。
ガビーンは?ガビーン、大丈夫?
「よっしゃー!」
よっしゃーは、大丈夫だよね。よくテレビで聞くもん。
じゃあ、ッシャー!はどう?ヨがないやつ。
かっちゃん(勝俣州和)がよく言ってたやつ。

「イェーイ!」は、まだいけるよね。
大丈夫だと思う。結構みんな言ってるはず。
「ゲロゲロは?」もう、ないよね。だよねー。ないよねー。
いつの時代だよ、ゲロゲロなんて。
(じゃあ「ゲロゲロ」の場面では何て言えばいいんだろう)

僕がこんなにも怯えているのは、
20代の頃に起業家の講演を聞きに行った際、
会話の中に知性を垣間見せていたイケイケの実業家が、
対談の中で普通に、「たらーん」と言ったからだ。
「たらーん」は当時でもとっくに終わっていた。
「たらーん」が違和感なく通用していたのは、
『ちびまる子ちゃん』アニメ版の初期くらいまでだ。
それを彼は、ジェスチャーつきでやっていたのだ・・。
もしかしたら知らない人もいるだろうから説明すると、
「たらーん」も「たりーん」も、
冷や汗をかいた時の感情を表すもので、
人差し指でこめかみ辺りをなぞるジェスチャーをする。

人前で堂々と死語をいう。
しかも、論理じゃなくて感情を出してるにもかかわらず。
それがとっくに死後だなんて、
そんな恥ずかしい思いはしたくない。
僕は若い人の会話で逐一チェックしていくつもりだ。
こまめなチェックが後で、活きてくるはずだから。
あれ、ちょっとまって。たんま、たんま。
さっき、イケイケの実業家って書いたけど、
「イケイケ」って、まだ、大丈夫だよね?死んでないよね?