2/4 相方

以前、大勢の人に紛れて梅田駅まで歩いていた時に、
後ろにいる同い年くらいの男二人の話し声が耳に入った。

「もう無理やな」
「そやな 無理やな」
「走るか?」
「え、走るん?」
「走ろや」
「もう、間に合わんて」
「ええやん。走ってみよや。
間に合わんかったら、しゃあないやん」

急ぐ理由はなんであれ、
隣で「走ってみよや」と言ってくれるなんて、
いい相方だなあと思って、駆けていく後ろ姿を見ていた。
彼らのリュックを覆っていた、
地下アイドルの顔写真付き缶バッヂが
50個以上嬉しそうに上下に揺れていた。