2/7 裸の王様

浦安から夜行バスで帰ってきた人が僕の前を歩いている。
「ネズミの着ぐるみ見に、千葉まですか・・」
なんて興ざめさなことは言っちゃいけない。
野暮ってもんだ。

真実だとしても、いうべきでないことはいくらでもある。
「王様は裸だ」と通りで言ってのけた少年は
曇りなき眼で王様を見たわけだけど、
あれは 実は、野暮な発言だったんじゃないかな。
「みんなわかっちゃいるが、それを言っちゃあ、おしまいよ」
と大人は思っていたのかもしれない。
大人の事情をわかった上で王様のお召し物を褒め称え、
裏で盛大に笑って、溜飲を下げていたのかもしれない。

着ぐるみだとわかった上で、ファンタジーにひたる人々。
世知辛い世の中を生き抜く術だと、思いたい。