4/12 みんな田舎モン

街なかで中国人観光客が信号を待っている。
両手にドラッグストアの袋をぶらさげて、
これからビックカメラにでも行くつもりなのか。
家族で「爆買い」でもするのだろうか。
はて。

「爆買い」という言葉には、嫌味がある。
相手が、成金の、礼儀のなってない、
遅れてきた中産階級の中国人だから、
「爆買い」などと暗に貶めて、溜飲を下げているのだ。
もし、これがフランス人だったら、
「爆買い」とは言わなかったろう。
相手が、成金の、礼儀のなってない、
遅れてきた中産階級だと思ってるから、
「爆」なんて言葉を使うのだ。

「爆」には、品が欠けている。
爆笑している人は、品がない。
爆弾も爆烈も爆破も、「爆」には、
一瞬のエネルギーはあるが、
後先考えない暴力的なイメージがある。

今は「爆買い」なんて言って揶揄している日本人も、
ほんの数十年前までは、
パリでブランドものを買い漁ったり、
ニューヨークでアメリカ人の大切なビルを買ったりして、
世界中に、成金ぶりを見せつけていた。
日本には届かなかったかもしれないが、
多分、フランスでは、ブランド物を買い漁る日本人を
「爆買い」と報道していたのだろう。
フランス語だからニュアンスはわからないが、
「猿買い」とか「下品買い」とか言われていたのだろう。
そんな洗練されたように見えるフランスも、
16世紀にイタリアから料理文化が入ってくるまで、
手づかみで肉を食べるような野蛮な国だった。
イタリア人は、フランス人の無作法を、
指をさして笑ったことだろう。
そんな(今の地図区分でいう)イタリアが
歴史上最も輝いていたローマ帝国時代に公用語として
使っていたラテン語は、
語彙の多くをギリシャから拝借していた。
ラテン語には、思想を表すワードが足らなかったからだ。
当時のギリシャの哲学者たちは、
勃興していく成金のローマを横目に、
「金はあるが、学のない奴らだ」と思ったことだろう。
そのギリシャは現在、経済が破綻しかけだ。
悲しいことに、哲学も破綻したままだ。

いつの時代も、都会モンは田舎モンをばかにする。
でも、都会モンも、いつかの田舎モンだ。
田舎モンも、いつの日かは都会モンだ。
そこに、大した違いはない。
たくさん買って経済を潤してくれてるんだから、
「爆買い」ではなく、「超買い」くらいでいいだろう。