4/4 恵まれた国の球春到来

プロ野球が開幕した。
球春、到来だ。
球春と書いて、それが野球のシーズン開幕を意味する
なんて、野球は相当特別扱いされているんだ、と思う。
球は野球だけのものじゃない。
サッカーもバレーボールも球だ。
サッカーの開幕を球冬と言ってもいいのに、誰も言わない。
(そもそもサッカーは2シーズン制だが)
そのくらい、野球は日本に根付いている。

しかし、世界には野球が根付いていない国のほうが
圧倒的に多い。
アメリカで、ブルネイから来た女子学生に
野球のルールを教えたことがある。
今度、サンフランシスコ・ジャイアンツの試合を
友達と見に行くのだという。
ブルネイはイスラム教を国教とするアジアの小国家だ。
野球場はおろか、バットやグローブすらない。
スタジアムの中で、男たちが何をやっているのか、
いちから教えなければならない。
「まず、野球は点を取り合うスポーツなんだ。
 一塁、二塁、三塁、ホームってのがあって、
 これを一周すると一点。わかる?」
「わかった」
「バッターは、打ったら、一塁に走る。
 一塁から二塁、二塁から三塁」
「じゃあ、三塁から二塁の方に走った場合は?」
「(笑)
 いや、三塁には、走らない。そんなやつはいない。
 で、守備のチームはバッターが打ったら、一塁に投げる。
 バッターより早く投げれたらアウト。
 これが三つ貯まったら、攻撃と守備は交代」
「じゃあ、遠くに打ったほうがいいってことね」
「うん。でも、フライだと、それでアウト。
 一塁に投げなくていい」
「フライってなに?」
「バウンドしてないってこと。地面に落ちてないボール」
「ふうん。ボールがぶつかっちゃった場合はどうするの?」
「ボールが何とぶつかっちゃった時?」
「ボールとボールが」
「ボールとボールが?」
「こっちの打った人のボールとこっちの打った人のボールが
 ぶつかっちゃった時」
「・・・」

どうやら彼女は、ピッチャーというのは何人かいて、
同時に何人かのバッターがボールを打つもんだと
思っていたらしい。
大切なことを最初に言ってなかった。
ボールは一つだ。
使うボールは、一つ。
まずは、そこからだった。

そんな細かい説明をいちからしなくても、
老いも若きも男も女も気軽に野球を見てくれる日本の環境は
恵まれている。

そんな国は、世界に数えるほどしかない。
わかってるんですか。
恵まれてるんですからね。
最高の環境なんですよ。
裏でコソコソやってる場合じゃないんですよ。
臭いものに蓋で、そのうち皆、忘れると思ってるんですか。
なんのために、コミッショナーはいるんですか。
恵まれた環境にあぐらをかいてたら、ほんとに
足元すくわれますよ。
そんなことを思う、黒い野球賭博事件直後の球春到来。