5/29 動物との距離

象のはな子が死んだ。
戦後初の象としてタイから連れてこられ、
移動動物園として
東京以外にも赴いたことで、
多くの人の記憶に残っていたようだ。

僕はペットも飼ったことがないので
動物に涙したことはないが、ニュースでは、
親の葬式でも泣かなかったというおじさんが泣いていた。
犬や猫ほどなつかない(そもそも檻の中の)象を
どうかわいがったのだろうか。
本来群れで暮らすはずの象が一頭、
檻の中にいる姿に何か重ねたのだろうか。

動物の死に泣くといえば、豚のPちゃんを思い出す。
命の大切さを教えると称して、
小学生に豚を育てさせた後に食べるという
物議をかもしたこの授業は、結局、食べずに終わり、
ペットとしての動物と食用の動物は違うってことを鮮明にした。
名もない豚は容赦なく食べるが、名前のついた豚は食べれない。
人間は矛盾に満ちている。

そういえば、映画「生きてこそ」では、
雪山で遭難して食料が底をついたラガーマン達が、
どうしようもなくなった末に人肉を食べて生き延びる。
彼らは宗教的な言い訳で自らを正当化しつつ、
凍った死人の肉を食べた。
人間は愛着がなければ豚どころかヒトでも食べるのだ。

ただ、映画には最後まで食べれず餓死した人がいたと
記憶している。豚でもヒトでも腹が減ったら
容赦なく食べるのが人間なら、
食べないと死ぬとわかってても食べないのも人間だ。
象のはなこは僕にとってはただの象だが、
あのおじさんにとってはかけがえのない存在だったのだろう。
はな子はこれから国立科学博物館に行くという。
死んでなお、矛盾だらけの人間のために働くのか。
彼女のことはあまり知らないが、
無理せんでよかばい、と言いたい。