5/30 だんだん似てくる二人

「顔がそっくりの夫婦」が、世の中には存在する。
親や兄弟が似てるのは当たり前だが、
夫婦の顔が似るってのはどういう理屈なんだろう。
やはり食べ物だろうか。何十年も同じ食べ物を食べていると
自然と顔つきが似てくるのだろうか。
それとも行動パターンや思考が似通ってくると、
同じような顔つきになるのだろうか。
一説には、「最初から似た人を選ぶ」という話もある。
「だんだん似てくる」のではなく、「最初から似てる」説だ。
この説では、女性の化粧や髪型で普段は気付かれにくいのだが、
嫁の顔つきは、最初から旦那に似ているというのだ。
確かに可能性としてあるかもしれないが、
小さい頃そっくりだった兄弟が、
大人になるにつれて似なくなることを考えたら、
やっぱり、顔つきよりも、生き方の方が濃く影響するんじゃないかと思う。

ある日、ソファに横になって、音楽を聞きながら無音でテレビを見ていたら、
何かのドキュメンタリー番組が流れていた。
テレビは無音なので、なんのドキュメンタリー番組かはわからない。
画面には、会場に集まった100人位のおじさん達が映っている。

そのおじさんたちは、壇上で講演している女性の話を、真剣に聞いている。
カメラは、その聴衆の顔を順に撮っていく。
おじさん、隣のおじさん、隣のおじさん。
似たような顔つきのおじさんの集団。
この人たち、なんの集まりだろう。
ってか、このおじさん達、みんな牛みたいな顔してんなあ・・・。

そう思って、テレビの音量をあげてみると、
ナレーションは、この番組が「畜産農家」を追ったドキュメンタリーだということを知らせてくれた。
牛と毎日いる人は、牛みたいな顔になるんだと、その時初めて知った。

そう考えると、思い出すことがたくさんある。
銀行員は銀行員みたいな顔をしてるし、

ミュージシャンはミュージシャンみたいな顔をしている。
あれは、多分脳が、目に映るものを真似しようとするんじゃないだろうか。
銀行員が銀行員として認めてもらうためには、
みんなから信用される、いわゆる銀行員の顔をしていなければならない。
そう脳が思うと、自然と、いわゆる銀行員顔になっていくのだ。
同じように、畜産農家も、そう。
牛に信用されようと脳が思うと、だんだん、牛に似た顔に近づいていく。
それでいくと、多分、夫婦もそうなのだろう。
血のつながった親や兄弟と違い、あかの他人である夫婦は
いつでも別れれる危険があるし、相手方の親戚から邪険に扱われる危険がある。
「私もあなたたちの仲間ですよ。なんかあった時は、助けてくださいね」
と相手方の親戚に知らせて、守ってもらうためには、

結婚相手と同じような顔つきになったほうが、得なのだと思う。
そうやって、顔を似せることで、夫婦は、生き残っていっているのだろう。