7/11 「象」の建物

手元にペーパーナイフがある。
以前、福岡の隠し部屋みたいな雑貨屋で買ったやつだ。
雑貨屋というか、元建築家のおじさんがやってる
仕事場みたいな屋根裏部屋みたいな空間で、
金曜と土曜の4時間くらいしか空いていなかった。
そのおじさんと建築の話をしていて、
藤森照信の建築が好きだと話すと、
じゃあ「象」も好きだろうという。
「象設計集団」は、沖縄の名護市長舎や
台湾の冬山河親水公園を作った建築家集団で、
土着の風土を感じさせる建築が特徴の集団だ。

おじさんの言うとおり、僕は「象」を調べるうちに
だんだんと「象」が好きになり、
沖縄にも名護市庁舎を見に行った。
その「象」が作った建築の一つに、
笠原小学校という埼玉の学校がある。
竜宮城のようと評されるその学校は、
起伏のある芝生の中庭や子どもが隠れるためのスペース、
瓦葺の屋根、開放的な部屋割りなど、
「はだしで過ごせる学校」にふさわしいつくりになっている。
宮﨑駿が描いた理想の街「イーハトーブ町」にでてくる
保育園を思い起こさせる。

この校舎は現在も使われているらしいが、
こんな小学校はもう作れないんじゃないだろうか、と思う。
今の校舎の規制では色々ひっかかるんじゃないだろうか。
僕の卒業後、地元の中学校が建て替えられていたが、
帰省時、一度外から見ただけで、入る気にもならなかった。
味気ない、機能的な、新築の刑務所のようだった
(刑務所行ったことないけど)。

子どもに何を教え、どう育って欲しいかは、
国語や数学などの教科よりも、もっとメタなもの、
校舎とか制服とか教壇とかチャイムとかに込められている。
歴史をどう教えるとか、英語をいつから教えるかと同じように、
どんな空間で教えるかについても、考えるべき点はあると思う。