7/22 ジェットコースター人生

上野のブータン展「しあわせに生きるためのヒント」
が終わった。
結局、想像だけして、行かなかった。

ブータンの高官達は、ブータンを「しあわせ」で
ブランディングしているが、
そろそろ次の手を打ちたいと思っていると思う。
「しあわせ」のイメージを打ち出せば出すほど、
国内にある「ふしあわせ」の現実も鮮明になるからだ。
「しあわせ」をあまり声高に叫ぶと、
変な新興宗教みたくなる恐れがある。

「しあわせ」なんて考えないに越したことはないと思うが、
以前、父親に「中内功はしあわせだったか」と
聞いてみたことがある。
中内功は、”主婦の店”ダイエーの創業者で、一時は
並みいる百貨店を抑えて小売業の頂点に立ったが、
バブル崩壊後、業績を落とし、再生法を申請、
経営から撤退し、会社はイオンの子会社になり、
個人の資産も家も処分されて、亡くなった。

かつて大成功を収めた人が、失敗の烙印を押されたまま死ぬ。
果たして、それは「しあわせ」だろうか。
父親の答えは確か、「しあわせと言えるんじゃないか」
くらいの肯定の仕方だった気がする。

絶頂からの凋落。
ジェットコースターみたいな人生を良しとする人もいるし、
何事もほどほどが一番とする人もいる。
ジェットコースターみたいな人生を良しとするのであれば、
芸能界の絶頂から薬物などで凋落する人生もまた良し、
と言える気がする。

いや、でもやはりそれと中内功は別物だ。
頂点に向かって駆け上がり、すべり落ちる間に、
中内功は、「社会」を変えた。
「よい品を安く提供するのが良い店だ」という考えの下、
価格の決定権をメーカーから奪い取ってきた。
彼が凋落しても、「失敗者」のまま亡くなっても
彼が変えた現実は変わらない。

死去の際、会社が再生機構下にあったために、
社内葬も行われず、
遺体も、自宅がすべて差し押さえられていたために、
家に帰ることすらできなかったという。
ただ、社内葬も行われない寂しすぎる状況に、
かつてのライバル達は、お別れ会を開いた。
ヨーカドーの創業者も、イオンの創業者も
献花しにやってきたという。
帰るべき家を失って、ライバル達から花をもらう。

これは「しあわせ」だろうか
それとも「ふしあわせ」だろうか。