8/17 プロのなせる技

知り合いの社長が経営しているスーパーに行った時、
店内に汚い格好をしたおばあさんがいた。
汚い格好にギョロッとした目で店内をうろついている。
怪しい。
店内の同じ場所を、ずっとウロウロしている。
右腕にぶら下げているベージュのトートバッグがすごく怪しい。
絶対、なにか入れている。
これは、確定だろう。

すると、二階の事務所からその社長が降りてきたので、教えてあげる。
「社長、見てください。あの人、盗りますよ」
すると、社長は、盗人おばあさんを見て言った。
「ああ、あれはね、Gメンですよ」
Gメン?
「万引き犯」だと思ったら、「万引きGメン」だった。
捕まる人じゃなくて、捕まえる人だった。
すげぇ。
プロってすげぇ。

万引きGメンというのは、スーパー中の誰も気に留めないような、
「普通」を画に描いたような中年女性だと思っていた。
だが、本物のGメンは、そういう世間や万引き犯が思い描くGメンイメージが固定した瞬間、
新しいイメージに塗り替えているのだ。
常に万引き犯の上を行ってこその万引きGメン。
この衝撃的な経験によって、次、店内で、ぼろぼろの格好をしたおばあさんを見たら、
「もしかしてあの人、万引きGメンかも」と僕は、疑うだろう。
しかし、その時にはもう万引きGメンは次の格好をしている。
そのおばあさんは、ただのぼろぼろの格好のおばあさんだ。
Gメンは、常に、僕らの先を行っているのだ。