8/21 外の人の疑問

関東の女性と話していて、あることに気付かされた。

「ねえ」
「うん?」
「九州弁で『先生に言った』は、『先生にゆーた』でしょ」
「うん。そがん」
「そがん(笑)。でもさ、『天神に行った』は、『天神に行った』でしょ」
「うん」
「なんで?」
「うん?」
「『いった』だから、『天神にゆーた』じゃないの?」
「天神には、『行った』やねえ。天神には、『ゆわん』ねえ」
「おかしいね」
「おかしかね?」
「おかしかよ(笑)」
「おかしかかね?」
「おかしかかかよ(笑)」

外にいる人は、不思議なところに疑問を持つ。
しかし、中にいる人は、その疑問に対する答えを持っていない。
普段考えもしないことだから。

以前、アメリカ人にこう、聞かれたことがある。
「なんで日本人はみんな小さいのに、相撲取りだけがあんなでかいの?」
僕は、押し黙ってしまった。
普段考えもしないことだったから。
日本人の中ででかい部類の人達が相撲の世界に入って、
いっぱい食べることでさらにでかくなる。
そんな当たり前に思っていたことが、
外から見ると当たり前にみえない。
平均身長の低い日本人の中で、相撲取りだけが、突出してでかくみえる。
指輪物語のホビットとガンダルフみたく、
日本人の中に、もともと違う種族がいるのだと思ったのかもしれない。
なるほど。
外の人は変なところに目をつける。

その時、まだ高校生だった僕は、あいまいな返事でごまかしたが、
十数年経ち、あの時答えられなかった質問を、今なら、答えられるような気がする。

「なんで日本人はみんな小さいのに、相撲取りだけがあんなでかいの?」
「あれは、たくさん食べて大きくしたからですよ」
「でも、普通の日本人とサイズが違いすぎるじゃない。違う種族なんじゃない?」
「いやいや、相撲取りも僕達と同じ種族です。
 その証拠に、彼らが引退したら、ちゃんと僕達のサイズに戻ります」
外国の人が変な疑問を持つのは、
親方になった後の力士を見たことがないからだ。
外の人が持つ「疑問」を中の人が持たないのは、
たくさんの具体的な「答え」を経験的に知っているからだ。
親方になって縮んだ後の元力士の姿を見ている僕らは、
力士が頑張って、体を大きくしたことを知っている。
たくさんの具体例を知らない外の人は、そこに「疑問」を持つ。

ただ、もし、彼らが、「相撲取り」という時、
曙太郎や武蔵丸光洋のことを指していたとしたら、それには、また、別の答えが必要だ。