8/30 この島でリスペクトされる人

日本は職人の地位が高い。
他国に比べて、職人をリスペクトする風土がこの国にはある。
職人は、手を動かす。
外国、特に中国やインドなどの「大国」では、
偉い人は手を動かさない。
手を動かすのは、偉くない人だけ。
そう、ある作家は言っていた。

手を動かすことを馬鹿にしない日本には、
焼き物の産地がいくつもあるが、
これは桃山時代、秀吉が朝鮮の陶工たちを連れてきたことに
端を発する産地が少なくない。
陶工たちは朝鮮から連れてこられたわけだが、日本での待遇は
大陸とは比べ物にならないくらい良い物だったらしい。
なにしろ、この島の人は、手を動かす人をリスペクトする。

朝鮮で雑器を作っていた人達が日本の「美」の極みみたいな
茶碗を作ったことは、「美」が「眼」であることを示唆している。
朝鮮では見向きもされなかった彼らに、
世界に輝く「美」を生み出させたのは、茶人達の「眼」だ。
疑問なのは、
「美」がわかる茶人が「技術」を持っていた陶工に指導して
傑作を生み出したということなのか、
それとも、茶人たちは既に、彼らが朝鮮で作っていた雑器にも
「美」を見出していて、
それをブラッシュアップさせたということだろうか。

どちらにしても、手を動かす人達は、
この島でリスペクトされてきた。
ただ、その手を動かす人達が、今、どんどん減っている。
陶磁器の産地が寂れ、職人が食えなくなっている。
製造業も中々いい話を聞かない。
「人件費の高い日本で製造業はもう成り立たない」
と「経済」の人達は言う。
わかる。
「製造は他国になげて、アイデアやデザインに特化すべきだ」
とも言う。
それも、わかる。

ただ、この島は、「大国」が手を動かすことを嫌っていた間も、
手をこせこせ動かして生きてきた人達の島だ。
今、政府が海外に輸出したがっているマンガもアニメも、
マンガ家やアニメーターがずーっと手を動かして創りだしている。
手を動かして、手間を惜しまず、効率的とは言えない方法で、
「クールジャパン」は作られている。
彼らの手間を惜しんで効率的にしたとしても、大した成果はない。
どだい、この島は「大国」向きではないのだから。