8/6 短命でもないセミ

セミが鳴いている。
オスだ。
捕まえようかな。

力いっぱい鳴いているのは、生殖活動のためであって、
メスを呼び寄せるために鳴くのだ。
だったら、セミが力の限り鳴くのは、
嫁に逃げられた人間のおじさんが、夜の店で、
お姉ちゃんたちを必死に口説いてるのと、同じようなもんなのかしらと思う。
女のために、力の限り、粘る。
先日、繁華街で、キャバクラを出た後も必死に、
「うちの金魚見においでよ。おっきいよ」と、女性を口説いていたおじさんを思い出す。
そう考えると、必死に鳴いているセミを捕まえるのは、

何か違うような気もしてきた。
放っておいてあげよう。

一般的に、セミは「儚い命」というけれど、地上に飛び出して来る前、
土の中で6,7年は生きているので、

そんなに短い命、でもないらしい。
たんに、地上で、交尾に費やす時間が短いというだけだ。
生命が終わるまでの最後の2週間、声の限りに鳴いて鳴いて、
発音筋を懸命に振動させて、命を次世代につなごうとするセミたち。
そう思うと、夜の店で、キャバ嬢を口説いているおじさん達とは、
基本的に、切実性が違うようにも思う。
セミに比べて、おじさん達は、不真面目だ。

セミが種類によって違う鳴き方をするのは、日本人には常識だが、
アメリカには、日本にいない、「17年ゼミ」というセミがいるという。

毎年、地上に出てくるのではなく、17年ごとに出てくる。
ぴったりと、いっせいに。
「17年ゼミ」とは別に、「13年ゼミ」という種類もいて、
こちらも、息を合わせたように
13年ごとに地上に出てくるらしい。
この17とか13とかが、なぜか素数で、それが、どうにも興味深いといって、
「素数ゼミ」を研究している人が世の中にはいるという。
なんだか、変態の匂いがする。
そんなセミの研究者に比べると、キャバクラ嬢のお尻を追い回しているおじさん達は、
生き物の本能に従って、日々を、健全に生きているだけのように思えてくる。
不思議。
世のおじさん達は、セミに比べれば不真面目だが、
「セミ研究者」に比べれば、健全だということだな。