9/1 国の形の美しさ

友人達と日本のいいとろこと悪いところについて話していると
「でも、一番は、日本列島の形だよね。美しいよね」
といったやつがいた。
日本列島の形が美しい?
どういうこと?
胴の長い犬か恐竜にしか見えない日本列島を
そんなにプッシュしてくるなんて、国粋主義者なんだろうか。
「何が美しいの?」
「形よ、形」
「昔は北海道がなかったけど、それでも美しいの?」
「それはだめでしょ。バランスが悪いよ」
「じゃあ、能登半島が取れたり、小笠原諸島がなくなったら?」
「そんな小さな違いは気にしないわよ」

よくわからない。
国の形が何かに似てるなあとは考えることはあっても、
美しいなあと考えたことはなかった。
彼女が何に美しさを感じているのかわからないが、
一つ考えられるのは島国の美しさかもしれない。
島じゃない限り、国境線は他国との合意で決まり、
人間が恣意的に引いた線できまる。
アフリカの国境線なんて、あからさますぎる程まっすぐで、
たまに曲がってたりすると、イギリス女王がドイツ皇帝の
誕生日に山あげたからとかいうおとぎ話的な逸話が付いてくる。
対して日本の国境線は自然が引いた線だ。
下北半島のでっぱりも山陰地方の曲線も
紀伊半島の形も佐渡ヶ島のアクセントも
人が考えて描いたわけではない。
自然が作ったものは、ランダムで複雑で、
バリエーションに満ちている。
見ていて飽きない。
そういうことかもしれない。

そういうことでしょ?
彼女に電話してみる。
「違う」
違った。
インドネシアもフィリピンも別に美しくないらしい。
島ではないらしい。形だという。
よくわからない。
なんだかよくわからないなあと思っていると、受話器の向こうがうるさい。
ハッハッハッハッ。
犬がいる。
やはり。
彼女は重ねあわせているだけなのだ。
日本列島の形が美しいと思っているが、実は
犬の形が美しいと思っているだけなのだ。
それならわかる。
僕が日本列島を美しいと思っていない理由がわかる。
僕は、猫派だ。
犬の美しさはわからない。