9/8 逢魔が時

新海誠監督アニメ「君の名は」が大盛況だ。
興行収入的にも批評家からの評価も文句なしというので、
ゴジラがいる歌舞伎町の映画館に見に行った。
なるほど。確かに。
みんながほめる理由がわかる。

作品中、効果的に使われたワードが「黄昏時」だった。
作中では方言なのか「カタワレ時」と言われていたが、
夕方、陽が沈み始めて闇が訪れるまでの時間、
「逢魔が時」ともいわれる時間帯だ。
妖怪が人間界に繰り出してくるのがこの時間帯で、
昼の世界から夜の世界に移動する際に、
妖怪たちは最も活発に活動する。
この時間帯に交通事故が多いのはそのせいだ。

黄昏時が過ぎ、陽がとっぷり暮れた後、闇の世界になって
初めて幽霊と呼ばれるもの達は活動を始める。
最近は日本も完璧な暗闇がなくなったので、
幽霊たちも生きづらくなったようだが、
それでも草木も眠る丑満ツ時には、
暗闇の中、いたるところに幽霊たちは跋扈している。
夜中に起こる交通事故の死亡率が昼間に比べて
ダントツに高いのはそういうことだ。

劇中、「黄昏時」が主人公二人を手助けするのだが、
「黄昏時」が終われば、またその効力もなくなる。
「黄昏時」は、ほんのひととき。
妖怪が見えるのも、ほんのひととき。
でも、見えないからといって、妖怪が消えるわけじゃない。
人間には妖怪はひとときしか見えないが、
妖怪はいつだってじっと人間を見ている。
音も立てずに。
後ろから。
そう、今も、
「君の後ろに黒い影」だ。※

 

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