AIに駆逐されない仕事

 

AIが世の中の仕事を奪っていったとしても
一番最後まで残る仕事は政治家だろうなと思う。
政治家はAIみたいに理路整然としていない。
急にいままで国交のなかった国を訪問してみたり、
急に昨日まで敵対していた党と手を組んだりする。
AIに、そんなことはできない。
多分、AIに政治のプログラミングをする際には、
「道義」を守るということを教えこむだろうが、
「道義」に忠実にやっているだけでは政治家は務まらない。
政治は理屈ではない。
だから、IQの高い人間が時に、政治をまったく理解しなかったりする。
政治を貫く論理はないに等しい。
あっても、例外がたくさんある。
政治家という仕事はやりながら覚えていくしかないのだ。
だとしたら、そこにAIの出番はない。

AIに取って代わられない仕事としては、芸術家もあげられる。
AIは過去の芸術作品を学習することで、
名作の名作たる所以を学ぶが、
AIがそれらに匹敵する名作を生み出せるかどうかは、疑問だ。
多分、完璧な絵画の贋作は作れるし、
基本構造をなぞれば色んなパターンが作れる音楽やドラマでは、
たくさんのヒット作を生み出せるだろうが、
それは、エンターテイメント界での話。
これまで出会ったことのない種類の感動を与える芸術を、
これまでのビッグデータ解析で生み出せるとは思えない。

AIに駆逐されない仕事としては、芸人もあげられる。
人を笑わせられるAIも、それなりのものにはなるだろうけど、
人間の芸人がいなくなることはまずない。
お笑いには「フラがある」という言葉があって、
なんとも言えないおかしみのある人のことを指す。
つまらないことでも、ふらのある人が言うと笑ってしまう。
この「フラ」がなんなのか、
どうすれば「フラ」が獲得できるのか、まだ僕らはわかっていないが、
それを解明しないかぎり、
人間の芸人がAIに取って代わられることはない。

以前、解剖学者の養老先生は、
仕事を選ぶ時は、歴史上ずっとあった職業に就いたほうがいい、と言っていた。
黒電話がスマホに変わっても、
馬が自動車に代わっても、
蹴鞠がサッカーに代わっても、決して無くならなかった仕事。
それは、これからも続く仕事。
政治家も芸術家も芸人も、
AIのサポートをするだけの仕事ばかりになった世界でも、

決して無くなることはないだろう仕事だ。