パスタ

10年ぶりにパスタ専門店「五右衛門」に行った。
パスタってのはどうもよくわからない。
あれを好きな男性っているのだろうか。
そもそも、肉や魚などのタンパク質料理が別皿にないと、
パスタだけでは満足できない。
ベーコンやエビが入っているパスタもあるけれど、
どうもあっさりしすぎている。
男は、飯にカロリーを求めているのだ。
あれでは、物足りない。
「パスタは、料理として一皿では完結してないよ」
そう、女友達に話すと、
「じゃあ、うどんはどうなの?」と返された。
確かに、うどんも蕎麦もそうめんも、あっさりしている。
カロリーを求めても、
まったく応えてくれない淡白さが日本の麺にもある。
「うどんもパスタと同じだよ。まったく物足りないよ」
しかし、うどんには、
「うどんはこれでいい」という説得力を感じる。
あっさりしてても、タンパク質が取れなくても、
「うどんはこれで完成された料理なのだ」という、
DNAレベルで訴えかけてくる説得力が、うどんにはある。

「だいたい、日本の男でパスタ好きな奴なんているの?」
そう、うどん派の僕が友達に聞くと、
「いるでしょ。”無印”によく行く男とか、
 憲法9条大事にしてそうな男とか、パスタ好きだよ、たぶん」
と、どういう基準なのかよくわからない返事をされる。
そもそもパスタってのは、イタリア本国では、
メイン料理の前に食べるもので、
それだけでお腹を膨らますものじゃあない。
うどんとは、そもそものスタンスが違うのだと思う。

先週、出雲大社に行った時に、
初めて出雲を訪れた友達が、
どうしても出雲名物「出雲ソバ」を食べたいというので付き合った。
何度食べても、あんな薬味だけの割子ソバ、
どこがおいしいのだろうと首をかしげたくなる。
しかも、観光地料金だし。
薬味が乗っただけの割子ソバこそが、
パスタと同じように、物足りない麺の日本の代表だ。
うどんは物足りなくないし、
うどんには、誰にも文句を言わせない「説得力」がある。
多分、島根に生まれ育った人は、割子ソバにも「説得力」を感じて、
イタリアに生まれ育った人は、パスタに「説得力」を感じるんだろうけど、
九州に生まれ育った僕は、うどんにしか「説得力」を感じない。
次の「五右衛門」が10年後になっても、まったくかまわないが、
次の「丸亀うどん」と次の「ウエスト」が10年後になったら、
悲しみに暮れてしまう。

 

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