AIの成長がすさまじい。
あと10年はかかると言われていたプロ(碁)棋士からの勝利も記憶に新しいが、
予想を上回るスピードでAIは進化している。
これまで人間の分野だと思われていたクリエイティブな仕事にも、
AIは着々と侵入してきており、
AIが書いた小説が、SF小説文学賞の一次選考を通ったり、
様々な笑いを教え込まれているAIが、
ツイッターでボケ始めてたりしている。
人間にしかできないことって何なのだろうか。
インターネットは、
これまでのどんな博識な人よりも多くのことを知っているので、
人間は、知識をためるよりも、
知識をどう使うかが大事になってくると言われる。
「大学入試では、スマホ可にしてもいいんじゃないか」
という意見まであるのは、そういう背景からだ。
知識はすでにネット上にあり、
それをどう使うかが、これからの「能力」だ、と。
しかし、すでに、人間がコンピューターを使うのではなく、
コンピューターに人間が従っているだけというケースは多々ある。
それが、株の売買のような、
過去のデータを参照して弾き出す答えならまだしも、
就活で、これからの当人の進むべき道を決める際にさえ、
「適職診断テスト」や「自己分析ツール」などの、
コンピューターが出した答えが、人の人生を決めている。
すでに、人間は、部分的に、コンピューターの言いなりだ。
ただし、コンピューターに適職を選んでもらったとしても、
辞める人は、たくさんいる。
コンピューターは
「マスコミ業界が向いてます」「営業が向いてます」とは言うが、
すぐにメンタルがやられて仕事を休んでしまうような人の面倒まではみない。
コンピューターは正しいことを言ったかもしれないが、
結果としてうまくいくかどうかは、人間次第である。
「コンピューターは、正しいことを言ったが・・・」。
たぶん、ここが、人間とコンピューターの住み分け部分だ。
「論理は人を黙らせるが、動かさない」という言い方があるように、
正しいことを言われても、人は動かない。
人を動かすためには、正しくないことも言わなければならない。
『踊る大捜査線』で、湾岸署の秋山副所長は、
「あいつ(青島)がいると困るよな。
あいつは、正しいことばっかするから」
と言っていたが、
人間は、正しいことばかりしているわけではないので、
人を、社会を動かすためには、正しくないことも織り交ぜなければならない。
たぶん、コンピューターは、今後、
その人間の正しくなさ加減も、調整してバーションアップしてくるのだろうが、
論理的に考えられるはずのコンピューターが、
論理的でない人間に配慮して出した”答え”に対し、
人間がどのくらい動かされるかは、見ものでもある。
イギリスのユーロ脱退やトランプ大統領就任を受けて、
去年のイギリスの流行語大賞は、「Post-truth
(客観的な事実よりも、感情的な訴えが政治に影響を与える状態)」だった。
人を動かすのは、論理ではなく、感情。
この分野は、まだまだ人間が担う分野なのだろう。
だからこそ、用心しなければいけない分野でもあるのだけれど。
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