福岡に友達が遊びにきた(1)。
天神の大きな交差点を渡る。
「福岡って、この音楽多くない?」
「通りゃんせ?」
「うん」
「気分が暗くなるって?」
「別に。暗くても、明るくするし」
「あ、そう?
通りゃんせ〜、通りゃんせ〜♪
こ〜こは、ど〜この、細道じゃ〜」
「ほい!」
「天神様の細道じゃ〜」
「そぉれ!」
「ちっと通してくだしゃんせ〜」
「通ぉせ!」
「行きはよいよい 帰りは怖い〜」
「さぁて!」
「怖いながらも〜
とぉ〜お〜りゃんせ〜と〜りゃんせぇ〜・・・」
「どしたぁ!」
「・・・」
福岡に友達が遊びにきた(2)。
「でもやっぱり、通りゃんせって
怖いよね。なんだろ、メロディかな」
「関所を通る時の歌とか、聞いたけどね」
「行きはよいよい、帰りは怖い、とかさ、怖いよ」
「明烏みたいだな」
「アケガラス?」
「あ、そういう落語が・・・」
「天神様って福岡じゃないの?」
「うん。でも、太宰府でできた歌じゃないらしいよ」
「へえ。よその天神様?」
「天満宮は全国にあるからね」
「こんな怖い歌聞いたら、子どもはさっさと家帰るわ」
「そういう効果も狙ってんのかもね」
「夕方5時の町内放送、これに変えればいいのにね」
「そんなんしたら、ますます子どもが外で遊ばなくなるよ」
「逆効果か・・・」
「でも、最近の子どもはこのくらいで怖がらないかもね」
「いや、夕方の通りゃんせは怖いよ」
「そう?」
「日が暮れてきた時の通りゃんせはね、怖い」
「そうですか。何か思い出があるの?」
「子どもの感受性をね、なめちゃ、だめ」
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