「歌は世に連れ、世は歌に連れ」というが、
「言葉は世に連れ、世は言葉に連れ」いう言い方もできる。
時代によって移りゆく流行り言葉は、
様々なところから出てきては、消えていく。
かつて、バラエティ番組やトレンディドラマから
流行り言葉がたくさん生まれたこともあったし、
女子高生がたくさんの言葉を生みだした時代もあった。
今はネット上から情報を得て、
ネット上で日々のやり取りをしているので、
ネットから生まれた言葉も多いが、
日常に広まっている度合いでいうと、
多分、お笑い芸人が生み出した言葉の方が、まだ多い。
お笑い芸人というか、”松本人志”個人が生み出したとも言われるが、
「さむい」も「噛んだ」も「よごれ」も、
「すべる」も「ドヤ顔」も、「ダメ出し」も、
全部、お笑い芸人発の言葉だ。
そう考えると、お笑いの影響力はすごい。
僕らの日常会話は、多分に「お笑い化」しているのだろう。
「お笑い」や「ネット」は、多くの人が日常触れているので、
その界隈の言葉は、皆が使うようになるわけだけど、
皆が触れているわけではないところから飛び出した言葉もある。
ヒップホップ界隈から飛び出した、「disる」だ。
「disrespect(無礼)」から来た言葉で、
「批判する、悪く言う」という意味で使われる。
若者の間で徐々に使われ始めたこの言葉は、
最近では、テレビのトークでも、自然に使われるようになっている。
お笑い芸人も使っているので、皆に浸透するまであと一歩。
あとは、流行り言葉から一番遠い、国会議員が言ってくれれば、
コンプリートだろう。
政治の世界は、「みんな」に伝わる言い方を好むので、
新しい言葉は使われにくいが、
新しい言葉は、感覚にフィットする言葉でもあるので、
是非、使ってもらいたい。
国会答弁で、
「そんなに批判ばっかりしないでください」よりも
「そんなにdisってこないでください」の方が、
しっくりくると感じる若者が、今や、たくさんいるのだから。
若い人の心に届く言葉を使いたい政治家は、
いまこそ、「disる」を使ってほしい。
時期的には、今が、最適。
でも、国会で「disる」を使って、
「disる」を理解しない老人たちに、
「もっと”みんな”にわかる言葉で話せ!」と「disられ」ても僕は知らないし、
「disられても、俺はかまわない!」と言えるような政治家は、多分、いない。
今の政治は、多分に、
「disる」を理解しない世代の人たちの方を向いて、進んでいる。
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