
後輩の女性が数学者に恋をしている。
 大して知りもしないのに見事に惚れてしまい、
 結婚するのだと、意気込んでいる。
 この子は、以前も、先輩の美術アーティストに惚れたり、
 ミュージシャンに入れ込んだり、表現者に目がない。
 でも、例え、付き合っても、長続きすることなく、
 だいたい、変な揉め事の末に、終わってきた。
 「いい加減、”才能”に惚れるのやめろ、馬鹿」
 そう言ったが、惚れてる人間には何を言っても、馬耳東風。
 何も聞いちゃいない。
才能に惚れてしまうのは、
 ある意味で、からだの疼きみたいなもんかなと思うけれど、
 男よりも女の方が才能に惚れやすいのは、どういう理由なんだろう。
 男が才能のある女に惚れてもよさそうなのに、
 そんな話は、あまり聞かない。
 いつも、才能に惚れるのは、女。
 神様から与えられし能力を才能と呼ぶのだとすると、
 才能に敏感な女性の方が、
 神様に対して常日頃、アンテナを張っているということだろうか。
男はどうしても好きな人の子を身ごもることができないので、
 「あなたの遺伝子が欲しい」という感覚がわからないけれど、
 この世には、遺伝子だけを目的に男を選ぶ女というのが確実にいる。
 その時、女は、「子宮」で判断している(という)。
 子宮を持たない男にはわからない感覚が、
 女にはある(のだろう)。
 男性の固有臓器は、まったく、女の”才能”には反応しないような仕組みになっているので、
 どんなに才能のある女性の数学者を見ても、反応しない。
 とんだ機能不全。
 歴史上、輝かしい才能を誇示した男の数が女よりも断然多いのは、
 もしかすると、
 男がまったく女の才能に反応しないにも関らず、
 女が男の才能に敏感に反応してきたせいなのかもしれない。

 
 

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