大谷翔平が尋常ではない。
世の野球漫画家が何を基準に描けばいいのかわからなくなっているほど、大谷は常識を覆している。
現実がマンガを追い越している。
ということで、大谷翔平の試合を見る(2021.6.20)。
エンジェルズ対タイガース。
試合は1-3で大谷率いるエンゼルスの2点ビハインド(大谷がエンゼルスを率いているわけではない。本当に率いているのはマドン監督)。
5回裏、1アウト、1塁。
マウンド上は、タイガースのピッチャー、マイズ(おばあちゃんっ子)。
大谷、ゆっくりと打席に向かう。
大谷、前の打者のバットを拾おうとするが、ボールボーイがさっと拾う(分業)。
大谷の登場曲は、人気マンガ『呪術廻戦』のエンディングテーマ(アメリカ人、よくわからず拍手)。
大谷、打席に入り、足元に落ちているゴミを拾う(日本の学校教育の成果)。
スタンドでホットドッグを売っている売り子、大きな声でホットドッグの値段を叫ぶ(たぶん歩合制)。
気温も上がっているようで、ホットドッグもビールもよく売れている。
マイズ、マウンドから目を細めてサインを覗く(おそらく乱視)。
マイズ、振りかぶって、92マイルのスプリットを放る。
大谷、ヘルメットを落として豪快に空振り(長嶋茂雄から続く「魅せる”ヘル落とし”」の系譜)
大谷の背後のバックネットに『東京西川』の広告が映る(『東京西川』の広告担当者、広告料の増額を考える)。
マイズ、2球目、95マイルのストレートを外角低めに投げ込む。
低めに外れたように見えたが、審判、何故か「ストライク」とコール(大谷、審判にお中元を贈るメジャーの慣習をまだ知らない)
ベンチで見つめるフレッチャー、ひまわりの種をベンチの前に吐き捨てる(播種)。
キャッチャー、座る位置をいつもより半歩後ろにする(ソーシャル・ディスタンス)
マイズ、ポケットに手を入れてサインを見る(ポケットの中には、滑り止めのためのボンタンアメかパインアメを常備。おばあちゃんっ子であることが垣間見える)。
3球目、マイズ、内角低めへ90マイルのスライダー。
大谷、一塁線に引っ掛けて、ファール。
大谷、バットの真芯あたりにあるアシックスマークを見つめる(自己催眠)
三塁側通路のタコス店・店員、退屈そうにトマトを包丁で刻む(たぶん時給制)
大谷、打席でバットを構える。
ベンチで見つめるフレッチャー、スポーツドリンクで口をゆすいで、ベンチの前に吐き出す(施肥)
マウンドのマイズ、背中のベルトにシャツを押し込む(だらしなさに厳しかったおばあちゃんのしつけ)
会場には、オ・オ・タ・ニ、コールが響く。
4球目、マイズ、外角低めへ96マイルのストレート。
大谷、バットを振り抜き、真芯で捉える。
ボールはセンターバックスクリーンへ。
実況、興奮して「Big Fly!」と叫ぶ(事前に書いていた日本語のメモを探すが、間に合わない)
客席、総立ち。
大谷、一塁を周ったところでスピードを落とし、二塁ベースを踏む(ベースの中の羽毛は、今年から「東京西川」が配給)。
大谷、ゆっくりと三塁ベースを回る。
マウンドのヘイズ、大型ビジョンでフォームを確認するがよく見えない(乱視に加え、近視の可能性)。
大谷、ホームへ戻ると、バックネットの『東京西川』の広告が再びテレビに映る(『東京西川』の広告担当者、スポンサー料の増額をエンゼルス側にメールする)。
これで、3−3の同点に追いつく(マドン監督、ニコニコ)。
大谷は、ホームランダービートップタイに(並ばれた相手、イライラ)。
これでオフの契約も大幅改定確実だと実況が叫ぶ(大谷の代理人、ゾクゾク)。
しかし、当人は、素知らぬ顔で打撃フォームをベンチで確認(野球少年はただただ、ハツラツ)。