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暮らしのマイトパルタ
ロザリオ
雪が降る教会の芝生で、言葉の世界にまだ入っていない娘が作る雪だるまを見つけて近寄ってきたホームレスが、 自分がいつも肌身離さず身につけているロザリオを娘に渡して見せてくれた。 それと一緒に、いつも唱えているラテン語の祈りの言葉も教えてくれ... -
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ダニエル
「幸福度調査」というものがある。 「幸福」ということを考える際、 「毎日辛いと思っていた高校時代」と、「その日々を、辛かったけど楽しかった思い出として思い返す大人の日々」では、どっちが「幸福」なのだろうか。 というか、「辛かった日々」と、「... -
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梅の花
「梅の花」という豆腐料理屋さんがある。 全国に67店舗ある。 この店の名前の由来は、創業者である「梅野」から来ているのだよ、と奥さんに教える。 「自分の名前を店の名前にするなんて、自分が好きなんだね」と言う。 そう言われ、梅野は「梅の花」以外... -
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お守り
小さい頃、自分が乗り物酔いがひどかったため、 「子どもは誰でも乗り物酔いするものだ」と思っていたら、 そうではないことを最近、知らされた。 車に限らず、バスでも飛行機でも乗り物には酔っていた僕は、 当時、誰かに聞いた酔い止め方法を片っ端から... -
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杏ちゃん
ガソリンスタンドに灯油をもらいに行くと、 女優の杏ちゃんの目がタイヤ越しにこっちを見ている。 「タイヤ買お。ブリヂストン」 その視線に、「タイヤは買わないけど、応援してるよ」の視線を送り返す。 イメージの商売というのは大変なものである。 会っ... -
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色紙
道端を歩いていたら、サイン色紙が落ちていた。 色紙というのは出で立ちからして晴れの日のための物だから、道端に棄てられていると余計に可愛そうな感じがする。 見てられない。 色紙を道端に捨てないでほしい。 着飾った物を晒し者にするのは、マナーが... -
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渋い
配偶者のことを「嫁」と呼ぶのは今でははばかられるようになってきた。 10年も経てば、「嫁」は消えている可能性がある。 時代がそれを要請しているのだから。 「嫁」が駄目ということは、 「嫁」と対になる「旦那」も今後、衰退していくということだろう... -
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マスク
マスク社会になり、皆がマスクをしている。 マスクを取って初めて露わになった顔全体を見た時、 「わっ!思ってたのと違う」と思うのは、 相手が「若い女性」か「若い男性」の場合だけである。 おじさんやおばさんの顔を見た時に、 「わっ!」と思うことは... -
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業
貴乃花親方は今、絵本を描いているだろうか。 確か、親方業を引退した際、「これから絵本を描く」と言っていたような。 別に絵本を描き続けてほしいわけではないが、絵本を描くのが皆が思うより簡単なことではないことは広く知られてもいい。 ブッダは「業... -
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古本
生きている人の本は「新品」で買う 死んでいる人の本は「古本」でもいい でも村上春樹とかの本は「古本」でもいい 一生に一冊しか出せなさそうな詩人の詩集は 絶対に「新品」で買わなければならない 私しか買ってない可能性があるから 0と1の間の深淵さに...