6/5 引き受ける人たち

一応、前回からの続き
そんな風に松坂のことを考えるのは、長嶋監督を思うからだ。
松坂も時代の寵児を引き受けたが、長嶋監督は昭和をずっと
引き受けていた。
六大学から鳴り物入りで巨人に入った時から、
みんなの期待に応え続けた現役時代。
引退後監督になって、退いてまた監督になって、
監督をやめても巨人に関わって、
病気になってもまだカメラの前に立っていた。
あの人はずーっと引き受けてる。
あんな人他にいるだろうか。
たいがい時代の寵児は一時代で終わるし、
長く引き受けてる人は早くに亡くなる。
ずっと生きて、若い時の活躍ができなくなった後も
輝きを失わずに、みんなの長嶋であれるのは
本物のスターだからだ。長嶋茂雄こそ本当のスーパースターだ。
(僕が手放しで人を褒めるのは、この人くらいしかいない)
アメリカにはこんな人いるだろうか、
ボブ・ディランとかこんな感じだろうか。
いや、ど真ん中を歩いてる感じでは、
マイケル・ジャクソンだろうか。

ON時代を共に築いて、初めて国民栄誉賞をもらった王監督は、
「このままじゃあんた、ずっと次男坊だよ」という
ダイエー時代の根本さんの言葉で福岡にやって来て、
福岡の人に愛されて、福岡の名誉会長みたいになった。
その後、WBCの監督になったり、
オリンピックのロゴ委員を押し付けられたり、
いまだにちゃんと色々引き受けてるが、
福岡に来て「世界の王」は「人間」になれたように思う。
(ちなみに「世界の盗塁王」福本豊は、
 立ちションできなくなるという理由で、
 国民栄誉賞を辞退している。あの人は最初から「人間」だった)

でも「ミスター」は最後まで「ミスター」だった。
ミスターの妻・亜希子さんは、
ミスターが選手を引退しても、監督を辞めても、

表舞台に引っ張りだす巨人や野球界の人を
苦々しく思っていたと言われる。
共に作った家庭も円満とはほど遠かった。
でも、それもスーパースターの宿命だ。
マイケル・ジャクソンやスティーブ・ジョブズと同じように、
一人の人間以上の仕事を引き受けた人は、
その宿命を受け入れざるをえない。
スターや時代の寵児に熱狂する側の人間は、
せめて寵児を引き受け終わった後は、
その人が「人間」として暮らせるように配慮するべきだと思う。